1.フェージング
無線通信における**フェージング(fading)**とは、 電波の強さ(受信信号レベル)が時間や場所によって変動する現象です。
シンプルに言うと、 👉「同じ場所・同じ送信でも、電波が強くなったり弱くなったりする」現象です。
⸻
■ なぜフェージングが起きるのか
主な原因は「電波の複数経路(マルチパス)」です。
電波は一直線だけでなく、以下のように伝わります: • 建物で反射 • 障害物で回折 • 物体で散乱
その結果、 👉 同じ信号が「複数の経路」で受信機に届く
⸻
■ フェージングの正体(重要)
複数の電波が重なると、 • 強め合う(合成) → 強い信号 • 打ち消し合う(干渉) → 弱い信号
になります。
👉 この「干渉の変化」がフェージングです
⸻
■ フェージングの種類
① 速いフェージング(高速フェージング) • 数cm〜数mの移動で変化 • 主にマルチパス干渉 • 例:歩くだけで電波が急に弱くなる
👉 Wi-Fiやスマホでよく体験します
⸻
② 遅いフェージング(シャドウイング) • 建物や地形による遮蔽 • 数十m〜数kmスケール
👉 トンネルやビル陰で圏外になる
⸻
③ 周波数選択性フェージング • 周波数によって影響が違う • 一部の帯域だけ弱くなる
👉 OFDM(Wi-Fi, LTE)で重要
⸻
④ フラットフェージング • 全体が同じように弱くなる
⸻
■ フェージングのモデル(少し専門)
代表的な統計モデル: • レイリーフェージング(Rayleigh) • 直接波なし(反射だらけ) • ライスフェージング(Rician) • 直接波あり(見通しあり)
⸻
■ 実際の影響
フェージングがあると: • 通信速度が落ちる • パケットロスが増える • 音声が途切れる
⸻
■ 対策(かなり重要)
① ダイバーシティ • アンテナを複数使う(MIMO) • 空間・時間・周波数で分散
② OFDM • 周波数を分割して影響を分散
③ エラー訂正 • データを冗長化
④ 送信電力制御
⸻
■ 直感的な理解
フェージングはこんなイメージです:
👉 「水面の波が重なって上下する感じ」 • 波が重なる → 強くなる • 打ち消す → 弱くなる
⸻
■ まとめ • フェージング = 電波強度の揺れ • 原因 = マルチパス干渉 • 種類 = 速い / 遅い / 周波数選択性など • 対策 = MIMO・OFDM・ダイバーシティ
⸻
もしよろしければ、 「レイリー分布の数式」や「OFDMとの関係」をもう少し深掘りして解説もできます。
代表的なフェージングは、大きく「原因」で3つに整理すると分かりやすいです。
⸻
■ 代表的な3つのフェージング
① マルチパスフェージング(Multipath Fading) • 原因:反射・回折・散乱による複数経路 • 現象:電波同士が干渉して強弱が発生 • 特徴: • 数cm〜数mで急激に変化 • 屋内・都市部で顕著
👉 一番基本で、フェージングの本質
⸻
② ドップラーフェージング(Doppler Fading) • 原因:送信機 or 受信機の移動 • 現象:周波数がズレる(ドップラーシフト) • 特徴: • 車・電車・スマホ移動で発生 • 時間的に信号が揺れる
👉 「動くと発生するフェージング」
⸻
③ シャドウイング(Shadowing / 遅いフェージング) • 原因:建物・地形などの遮蔽 • 現象:信号が大きく減衰 • 特徴: • 数十m〜km単位で変化 • ゆっくり変動(遅い)
👉 「物陰に入ると弱くなるやつ」
⸻
■ 3つの違い(重要整理)
種類 原因 変化の速さ イメージ マルチパス 反射・干渉 速い 波の干渉 ドップラー 移動 時間変化 周波数ズレ シャドウイング 遮蔽 遅い 陰になる
⸻
■ あなたの挙げたものの整理 • マルチフェージング → ✅ マルチパスフェージング • ドップラーフェージング → ✅ 正しい • あと一つ → 👉 シャドウイング(遅いフェージング)
⸻
■ もう一歩だけ深い理解
実は現実の無線は:
👉 3つ全部が同時に起きています • 建物で減衰(シャドウ) • 反射で干渉(マルチパス) • 移動で揺れる(ドップラー)
⸻
もしよろしければ、 「レイリー・ライスとの関係」や「LTE/5Gでどう対策しているか」も実務レベルで解説できます。